【☑リストあり】産業保健師の探し方と採用前に知っておきたいこと
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社内で産業保健師を採用する方針が決まったものの、産業保健師の探し方がわからないというご担当者も多いのではないでしょうか。
そこで、産業保健師の探し方や、採用担当者が産業保健師を採用する前に知っておきたいことについてお話しします。
※本記事でご紹介する「産業保健師を迎え入れるために必要な項目リスト」は、ページ最下部よりご確認頂けます。
産業保健師はどうやって探すの?
産業保健師を探すには、大きく分けると3つの方法があります。
【産業保健師を探す方法】
- 自社の採用HPなどで募集
- 人材紹介や業務委託サービス等を利用
- 開業保健師へ業務委託
上記以外にも採用に至るケースがありますが、いずれの方法で産業保健師を探すにしても、『自社の健康課題』、『産業保健師に期待すること』を主軸とし、自社にマッチした産業保健師を探していくことが大切です。
では、それぞれの詳細について、見ていきましょう。
自社の採用HPなどで募集
募集要項の作成、募集、面接などの段取りすべてを自社で行う方法です。
採用に伴う業務負荷はかかりますが、費用を抑えて探すことができます。
ただし、産業保健師は人材紹介会社へ登録し求人紹介を受けるケースが多いため、応募者がなかなか集まらないことも想定しておいた方がいいでしょう。
また、採用側の産業保健師に対する理解が乏しいと、双方の理解が深まらず、採用後のミスマッチが生じやすくなる可能性があります。
人材紹介や業務委託サービス等を利用
人材紹介や業務委託サービスを利用することで、担当者の業務を削減し、さらには採用後のミスマッチが生じにくくなります。
理由は、人材紹介や業務委託サービスを提供する企業には産業保健師の採用ノウハウがあるためです。人材紹介や業務委託サービスを提供する企業なら、産業保健師を探している企業側の健康課題や産業保健師に期待することなどをヒアリングし、採用を進めていくことが可能です。
また、雇用形態が常勤ではなく、定期的な訪問を検討されている場合は、産業医事務所などに依頼し、産業保健師の定期訪問を契約するといったケースもあります。
さらに、従業員数が50名未満の企業の場合は、管轄の地域産業保健センターへ無料で健康相談や保健師指導などのサービスの提供を受けることが可能であるため、一度ご相談されてみるのも一つの方法です。
ご参考:地域産業保健センター
\【産業保健師サービス】に関するお問合せはこちら/
開業保健師へ業務委託
ここ数年、開業保健師が増えています。開業保健師の中には自身のHPやSNSなど通じて業務を請け負う方もいらっしゃるようです。
開業保健師は知識、スキル、経験が豊富な方が多いので、保健師を探す際には検討の選択肢に入れておくとよいかもしれませんね。
産業保健師は複数の方法で探しましょう!
ご紹介した3つの選択肢以外には、産業保健師が出席する学会や研修会などで担当者が知り合いとなり、人づてに産業保健師を紹介、採用に至るケースもあるようです。
いずれにしても、自社にマッチした産業保健師を見つけるためには、まず行動を起こすことが大事です。
そして重要なのは、一つの方法に絞って産業保健師を探すのではなく、複数の方法で探すことが、自社に合った産業保健師を見つける近道かもしれません。
産業保健師の採用について
産業保健師の探し方に続いて、採用担当者が採用前に知っておくべきポイントについてご紹介します。
専門職の方の採用は初めてなので、採用についての進め方に困っている担当者も少なくないかもしれません。選考が進み、最終的には決定をしていかなければいけない時に、誰にすればいいのかわからないケースも出てくると思います。
そこで、産業保健師の採用について、
- 採用選考方法
- 面接時に確認した方がいいこと
- 選考
という3つの視点から見ていきましょう。
産業保健師の採用選考方法について
まずは、産業保健師の採用選考方法についてです。
産業保健師が医療職だからといって、何か特別な試験などを準備するケースは少ないです。産業保健師の求人を見ると、基本的には、『自社の採用選考方法に則っている』という企業が多いように思います。
選考方法は、『書類選考』、『一次面接』、『二次面接』、『SPI試験』です。
専門職がすでに常勤で勤務しており、採用選考に携わるケースである場合、専門職の知識レベルを確認するための試験を設けている企業もあります。
その他、開業保健師に依頼する、紹介を受けて採用する場合は、上記に挙げた選考方法を臨機応変に対応している企業もあるようです。
産業保健師の知識、スキルの評価について
では、書類選考や面接時に産業保健師の専門的な知識、スキルをどのように評価していけばいいのでしょうか。
一つの例を通して考えてみましょう。
<企業Aの概要>
従業員数:約1800人
業種:建設業
健康課題:メンタル疾患による休職者の増加
産業保健師採用に至った経緯:産業医1名で対応していたが、事後措置対応者や休職者が増加したことで、産業医や人事担当者だけでは対応困難となり、産業保健師を初めて採用することとした。
上記の例で注目すべきポイントは以下の2点です。
ポイント1:メンタル疾患による休職者増加
ポイント2:企業Aにとって、産業保健師は初めての採用
では、どういった考え方で産業保健師の採用について考えていけばいいでしょうか。
企業として採用したいと思う産業保健師については、「ポイント1・2」の現状をふまえると、経験者が望ましいですね。
さらに希望を言うのであれば、メンタル疾患の方に対しての対応や復職支援の経験が豊富な方、精神科病棟などで勤務していた方、心理系の資格をお持ちの方などは優遇してでも採用した方がいいと考えます。
しかし、業務面でマッチしたとしても、産業保健師側が、自分の知識、スキルに見合わない給与であった場合は、応募はしないでしょう。
企業としても、産業保健師を採用する予算は限られているので、提示できる給与が相場より低い場合は、
- 業務面(メンタル不調者への対応の経験が積めますなど)
- 福利厚生
- 勤務の詳細(フレックスタイムやテレワーク可)
などをアピールしている企業もあります。
企業のアピールポイントを掲載しても、応募者が来ない場合は、未経験者を採用することについても視野に入れておくといいでしょう。
経験者である方が即戦力になるのは、周知の事実ですね。
特に、企業が産業保健師を採用したいと考えるタイミングは、担当者だけでは対応できず、困っている時ではないでしょうか。その場合、未経験者を採用し、サポートをする余裕はほとんどないのが実情かと考えます。そのため、経験者に来てほしいと考えている担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、ちょっと待ってください。
未経験者でも、産業保健師になりたいという熱意があり、日々勉強し、準備している方も多いです。産業保健の業務は地道な活動ばかりですし、道なき道を切り開いていくような仕事です。
そのため、熱意が枯渇すると地道な活動も、道を切り開くこともできなくなります。重要なのは、産業保健に対する熱意です。
採用の過程で多くの産業保健師の熱意に触れていただき、その上で自社にマッチする産業保健師を獲得していくことが企業、従業員にとってプラスになるかと思います。
面接時に聞いた方がいいこと
では、面接時に確認した方がいいことは何でしょうか。基本的には、企業の採用選考基準に沿って対応していくのがいいでしょう。
というのは、産業保健師も人ですので、その企業に合うかどうかについては、担当者で見極める必要があるためです。
長く就業していただきたいという観点からも、採用後に合わなかったという事態は極力避けたいかと思いますので、産業保健師の人柄がどうかというところを一番に見極めていく質問がよいかと考えます。
筆者自身がこれまで経験した採用面接において質問を受けた内容や、採用面接側になった際、面接時に必ず確認していた内容の詳細についてお伝えいたします。
<面接時に確認した方がいいこと>
項目 | 詳細 | |
---|---|---|
1 | 臨床経験や産業保健師の経験の中で、大変であったこと。どのように解決を図ろうとしたのか? | ・問題解決能力や継続する力の確認のため。 ・困難から逃げずに、自立的に行動できるかの確認のため。 ・ストレス耐性について確認のため。 |
2 | こちらの考えを伝えても理解が得られない場合どうするか。 | ・産業保健師は業務を進めていくと必ず理解を得られないケースが出てくるので、その理解を得る方法を確認するため。調整力は必要なスキル。 |
3 | 自社の健康課題(困っていること)の具体的な事例を挙げ、 あなたが入社したらどのように対応するのかを問う。 例)喫煙者が多いが、どのようにアプローチするのか。 | ・健康課題の具体的な例を挙げ、それに沿った産業保健をどのように展開するのかを確認しておくと、入社したときのイメージができるため。 ・ミスマッチを防ぐためにも重要である。 ・本人の知識、スキルがどのぐらいなのかがわかりやすいため。 |
4 | なぜ、産業保健師になりたいのか。(未経験者は必須) | ・よくある志望理由は『予防医学の重要性』であるが、実体験や実感が伴っているのかが重要。産業保健にかける熱意は? |
5 | 転職をした理由とこの企業を選択した理由(経験者は必須) | ・産業保健師経験者であれば、ミスマッチを防ぐためにも、転職理由を確認し、前職でどういった経験をしたのかを確認する。 ・なぜこの企業を志望したのか、どう貢献したいと考えているのかを確認するとよい。 |
6 | 自身の強み、弱みは何か? | ・産業保健師自身がセルフケアできているのかを確認する。 ・自己内省ができるかどうかを確認する。 ・弱みをどう認識し、どう向き合っているのかは、本人のストレス耐性にも影響を及ぼすので、重要である。 |
いかがでしたでしょうか。ご参考にしていただけますと幸いです。
最終的には、人柄が重要!!
では、実際誰を選ぶのかとなったとき、決める軸となるのは、自社の健康課題、産業保健師に期待することです。
多くの方と面接をすると、誰を選べばよいのかわからなくなります。
そんな時は一度立ち戻ってください。
- そもそも産業保健師の採用を考えたきっかけは何だったのか
- 自社の健康課題は何か
- 産業保健師に何を期待しているのか
そうすることで、誰を選べばよいのかが、おのずと分かるかもしれません。
とはいえ、最終的な決め手は人柄ではないでしょうか。
知識、スキルがともなっていなくとも、今後成長していきたいという思いがあれば企業へ貢献しうる方ではないかと思うためです。
産業保健師という仕事を通して、人をより健康に向けてサポートしていきたいという思いは、医療職の中では共通しているのではないかと考えます。
その上で、それぞれ得意、不得意があるというだけの話です。仮に知識、スキル面で企業にマッチしなかったとしても、人柄がいいので採用を決めるという担当者もいらっしゃいます。
産業保健は、人との関わりがその業務の大半を占めます。そのため、産業保健師の知識、スキルばかりに目を向けるのではなく、人柄にも注目して採用選考を進めてはいかがでしょうか。
そして、採用が決まり、「はい、おしまい。めでたし、めでたし。」ではありません。
採用後は、産業保健師と連携を図り、従業員の健康維持、増進に向けて二人三脚で進めていただけますと幸いです。
本記事監修:産業保健師 辻 梨恵子(ペンネーム)
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