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【準備リスト付き】衛生委員会って何をするの?
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皆様は衛生委員会についてどの程度ご存知でしょうか?

衛生委員会は、法律で設置が義務付けられているため、その役割や内容が不明確なまま実施している担当者の方も多いかもしれません。

また、衛生委員会の設置や運営に苦労している企業の方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、衛生委員会の目的や審議する内容、運営時の注意点などについて、詳しくご紹介します。

衛生委員会とは?

衛生委員会の目的は、労働者の健康確保に必要なことについての調査審議です。

もう少し簡単に説明すると、健康にまつわる「職場で困ったこと」などについて、職場のみんなで話し合う場を設けることを目的としています。

この衛生委員会は、労働安全衛生法第18条によって、事業主に設置が義務づけられています。

以下が該当する法令です。

労働安全衛生法第18条、労働安全衛生法施行令23条より

  • 事業者は事業場の規模が50人以上の場合、その事業場毎に衛生委員会を設けなければならない。
  • 衛生委員会を設けた場合、事業者は衛生委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならない。

<ご参考>労働安全衛生法 | e-Gov法令検索労働安全衛生法施行令 | e-Gov法令検索

衛生委員会の設置義務(労働安全衛生法施行令 第9条)

事業場の業種すべの業種(業種に関係なし)
事業場の規模50人以上

衛生委員会には種類があるの?

衛生委員会とともに、安全衛生管理体制における委員会には、さらに2つの種類があります。それぞれ、事業場の業種や規模に応じて必要とされるものです。

その3つとは、衛生委員会、安全委員会、安全衛生委員会です。

具体的には、安全委員会は労働者の安全に関すること、安全衛生委員会は労働者の安全及び健康に関することを対象としています。

以下の表に、それぞれの役割や設置の必要性についてまとめました。

<委員会について>

衛生委員会安全委員会安全衛生委員会
目的労働者の健康の確保に
必要なことを調査審議する。
労働者の安全の確保に必要なことを調査審議する。労働者の安全と健康の確保に必要なことを調査審議する。
設置事業場50人以上の事業場法令で定める業種+50人以上の事業場
法令で定める業種+100人以上の事業場
安全委員会と衛生委員会の両方の設置が必要な事業場
※別々に設置可

基本的には、50人以上の事業場には衛生委員会の設置義務がありますが、安全委員会は業種によって設置義務が定められています

たとえば、林業、建設業、運送業などは50人以上の事業場、電気業、ガス業などは100人以上の事業場が安全委員会の設置が必要とされます。

詳細については、労働安全衛生法施行令第8条をご確認ください。

<ご参考>:労働安全衛生法施行令 | e-Gov法令検索

衛生委員会の委員の構成って?

では、衛生委員会の委員はどのような方々で構成すればよいのでしょうか。

衛生委員会の目的は、「労働者の健康の確保に必要なことを調査審議すること」なので、その目的に沿った方々で構成することが望ましいです。

衛生委員会の委員構成は、主に労働安全衛生法第18条にて定められています。

詳細は以下の通りです。

<衛生委員会の委員の構成>

構成する委員人数
参加が必須①総括安全衛生管理者の選任義務がある事業場
※総括安全衛生管理者または、総括安全衛生管理者に準ずる者
②総括安全衛生管理者の選任義務がない事業場
※その事業場においてその事業の実施を総括管理する者または、その事業場においてその事業の実施を総括管理する者に準ずる者
1人
衛生管理者のうちから事業者が指名した者1人以上
産業医のうちから事業者が指名した者1人以上
その事業場の労働者で衛生に関し経験を有する
もののうちから事業者が指名した者
1人以上
任意その事業場の労働者で、作業環境測定を実施している
作業環境測定市のうちから事業者が指名したもの
0または1人以上

そして、議長は①、②にあたる方が務め、それ以外の委員の半数以上については、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の推薦に基づいて指名しなければなりません。

なお、委員の人数については、事業場の規模によって異なりますので、確認が必要です。特に衛生管理者については、事業場の規模によって人数の定めがあります。詳細については、前回の記事「衛生管理者の仕事って?」をご参照ください。

衛生委員会で調査審議される内容とは?

ところで、衛生委員会の目的は『労働者の健康の確保に必要なことについての調査審議』でしたね。

では、この『調査審議』とは、一体どのような内容を調査し、審議するのか、具体的な内容を確認していきましょう。

以下の表にまとめてみました。

<調査審議事項>

関連する法令調査審議事項
労働安全衛生法第18条労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
※健康診断、作業環境管理、作業管理など
労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に関わるものに関すること
労働安全衛生法施行令第22条衛生に関する規定の作成に関すること
危険性または有害などの調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に関わるものに関すること
安全衛生に関する計画(衛生に関わる部分に限る)の作成、実施、評価及び改善に関すること
衛生教育の実施計画の作成に関すること
科学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること
作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること
定期に行われる健康診断、臨時の健康診断、自発的健康診断及び労働安全衛生法に基づく他の省令(規則)の規定に基づいて行われる医師の診断、診察または処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること
※定期健康診断の事後措置に関すること
労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること
長時間に渡る労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
※過重労働に関すること
労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること
※メンタルヘルスケアに関すること
厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告または指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること
労働安全衛生法施行令第23条労働者の健康を確保する観点から必要なものとして産業医から調査審議を求められたこと

衛生委員会を運営していく上での注意点

なお、衛生委員会を運営していく上での注意点が3つあります。

個人情報を開示してしまわないよう注意

衛生委員会は労働者個人のことではなく、その事業場全体としての対応を調査審議する場です。そのため、具体的な個人名や個人の健康診断結果などをそのまま出さず、匿名化、集約化した上で調査審議に利用しましょう。

法令違反に注意

例えば、労災を隠すような発言、劣悪な作業環境をそのままにしてしまうような発言などをしてしまわないようにしましょう。法令遵守できるにはどうしたらいいのか建設的な議論ができる風土作りも大事です。

ハラスメントに該当する言い方や犯人捜しをしないよう注意

健康に関する議題の際に、ハラスメントに近い言動をしないように注意しましょう。また、労働災害などが発生した際は、誰がやったのかなどの犯人捜しをするようなことはやめましょう。衛生委員会は従業員が健康の確保ができるように調査審議する場です。あくまで建設的に議論することが大切です。

以上のことに注意して、衛生委員会を運営していただけますと幸いです。

衛生委員会を始めよう!

衛生委員会について理解いただいたところで、いよいよ衛生委員会を開始しましょう!

ただ、何から手をつければ良いか迷われる方も多いことでしょう。

そこで、衛生委員会を始めるために必要な準備について、チェックリストを作成しましたので、ご参照ください。

<衛生委員会の準備チェックリスト>

項目詳細議題の種類
1委員と日程(月1回)を決める事業場の業種、規模に応じて、必要な委員を選任する。定例報告
2長時間労働に関する報告をする対象者の人数、産業医面談実施状況など
3職場巡視後の報告指摘点と改善点など
4労災発生の報告発生件数、発生の経緯や対策など
5職場でのヒヤリハット事例の報告
※安全委員会の場合
発生件数、発生の経緯や対策など
6産業医からの情報提供例えば、感染症発症者の出勤停止の目安、予防啓発など
事業場の方針を審議できるように情報提供をする
※あくまで決めるのは会社(事業場)である。衛生管理者の場合は、職場内の衛生面においての課題提起などをしている企業もある。
議題による調査審議
7衛生管理者からの情報提供
8衛生委員会開催後の周知開催後は話し合われた内容について速やかに労働者へ周知する
9衛生委員会の記録について毎回議事録を作成し、3年間保存する必要がある

長時間労働、労働災害、職場環境、健康に関連することなど、調査審議する内容はたくさんあります。毎月開催されるため、事業場の課題に焦点を合わせて、メリハリのある衛生委員会を目指すと良いでしょう。また、衛生委員会のテーマ選びに悩んでいる担当者も多いかもしれませんが、参考になる具体的なテーマについてご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。

<具体的なテーマ>

  • 長時間労働:月間の長時間労働状況、面談実施状況の報告や残業削減のための施策や検討
  • 季節特有のお話:熱中症、花粉症、食中毒、感染症など
  • 職場環境改善:温湿度計の設置や確認、禁煙・分煙対策や労働者の困りごとなど
  • 定期健康診断:健診・二次健診の受診率や受診率アップの施策検討、健診結果報告など
  • ストレスチェック:初年度の場合は、社内規定の内容について調査審議する次年度以降は受診率や高ストレス者の結果報告など
  • メンタルヘルス:休職・復職規定の確認、相談体制の周知など

衛生委員会の運営は労働者と一緒に作り上げていくことが大切

いかがでしたでしょうか?

法令に従うことは必要ですが、やるしかないからやっていると考えるとつまらない衛生委員会になってしまいます。まずは始めてみて、労働者の方々の意見を聞き、一緒に作り上げていくことが大切だと筆者は考えています。

本記事が、少しでも皆様の衛生委員会運営に役立てば幸いです。

本記事監修:産業保健師 辻 梨恵子(ペンネーム)

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