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【準備リスト付き】これで安心!定期健康診断の基礎知識と実施方法
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総務や人事をご担当のみなさんは、定期健康診断の実施についてお悩みではないですか?

健康診断は、労働衛生の3管理の一つである健康管理の重要な要素です。事業者は、労働安全衛生法やじん肺法などの法令に基づいて、労働者に必要な健康診断を実施する義務があります。

しかし、健康診断を企画・実施・運用する担当者の中には、経験の浅い方や、やり方に自信がない方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では、定期健康診断について、基礎知識や実践的なポイントを分かりやすくお伝えしたいと思います。

健康診断とは?

健康診断とは、体の健康障害を早期に発見するために、医師による問診や医学的検査を行うことです。

冒頭でもお伝えした通り、労働者の健康診断は、労働衛生の3管理の一つである健康管理の一部として行われます。労働安全衛生法じん肺法により、事業者は労働者に対して必要な健康診断を実施する義務があります。

ここで、労働衛生における3管理とは何か、簡単に定義をお伝えします。

  • 作業環境管理:作業環境中に存在する有害因子を除去または一定レベル以下に管理すること
  • 作業管理:作業内容や方法などを管理し、作業負荷や有害因子への暴露を軽減すること
  • 健康管理:業務による健康障害の防止を図り、労働者の健康の保持増進を図ること

定期健康診断は、3管理のうち、健康管理の一部として実施されています。

続いて、健康診断の目的について詳しく確認していきましょう。

健康診断の目的とは?

健康診断には、大きく分けて以下の4つの目的があります。

①健康障害の早期発見

例)高血圧や高血糖、貧血など一般的な健康障害を早期に発見し、生活改善や適切な医療へつなげる。

②業務に起因する健康障害の早期発見

例)有機溶剤などを使用する環境下での業務の場合、有機溶剤中毒など業務起因となる健康障害を早期に発見し、適切な医療へつなげる。

③業務を遂行する上で必要な就業上の措置を行う

例)健康障害に応じて、業務内容の変更や勤務管理を行う。有機溶剤の業務を禁止するような就業制限を設けるなどの措置をとる。

④労働者の健康への関心を高める

例)健康診断を実施することで、労働者自身が健康への関心を高め、健康障害の予防につなげ、セルフケア向上を図る。

これらの目的に基づいて、法令で定められた健康診断を実施しているのです。

健康診断の種類について

健康診断には、大きく分けると一般健康診断特殊健康診断の2つの種類があります。

それぞれの概念については、以下の図をご覧ください。

<健康診断の概念>

一般健康診断特殊健康診断
概念一般的な健康障害の早期発見を主とした健康診断業務に起因する健康障害の早期発見を主とした健康診断

一般健康診断と特殊健康診断には、さらに様々な健康診断の種類が含まれていますが、本記事では、主に一般健康診断の種類について紹介します。

一般健康診断には、以下の種類の健康診断があります。それぞれの健診の概要についても記載していますので、ご覧ください。

<一般健康診断の種類と概要>

健診の種類健診の概要
雇入時の健康診断常時使用する労働者を雇入れる時に実施
定期健康診断常時使用する労働者に1年以内ごとに1回実施
特定業務従事者の健康診断暑熱作業、深夜業など特定業務の従事者に6ヶ月以内ごとに1回実施
海外派遣労働者の健康診断6ヶ月以上の海外勤務の前後に実施
給食従業員の検便事業に附属する食堂・炊事場の給食業務従事者を対象に実施

一般健康診断は、労働安全衛生規則(第四十三条より)に定められています。詳しくは、以下のリンクをご参照ください。

<参考>:労働安全衛生規則 | e-Gov法令検索

それぞれの職場環境によって、どの健康診断を実施すべきか判断に迷う場合もあるかと思いますが、分からない場合は産業医(あるいは保健師)や労働基準監督署に確認することも一つの方法です。

重要なことは、必要な健康診断を対象者に確実に受診してもらうことです。受診をさせていなかった、ということがないようにしましょう。

健康診断を実施する手順について

健康診断の目的や種類についてご理解いただいたところで、続いては、健康診断の実施手順について紹介します。

以下の図にまとめましたので、ご覧ください。

健康診断は実施前の現状把握が非常に重要です。

まずは、自社に必要な健康診断の種類が何か、対象者はどの程度いるのか、実施時期はいつにするのか、実施手段はどうするのかなど、現状を把握し計画を立てることから始めます。

また、実施後には結果の受領、保管、報告なども必要になるため、一連の流れを整理しておくとよいでしょう。

健康診断の費用についての考え方

事業者には、一般健康診断と特殊健康診断の実施義務があることをご説明しました。

このため、健康診断の費用は事業者が負担しなければなりません(昭和47年9月18日基発第602号)。

同通達には、健康診断を受けるために要した時間についても、特殊健康診断の場合は事業者が賃金を支払わなければならないと規定されています。

一般健康診断については、労働者の業務時間外に実施することが可能であるため、賃金支払いの必要性はありません。しかし、受診の円滑な進行を考えると、事業者が健康診断の受診にかかった時間に対して報酬を支払うことが好ましいと言えます。

以上の点を踏まえ、事業者は、健康診断の実施や費用負担について適切に判断する必要があります。

まとめ

この記事では、定期健康診断について、基礎知識や実践的なポイントをお伝えしました。

健康診断について少しでもご理解いただけたら幸いです。

繰り返しになりますが、健康診断を実施するには、現状の把握から始めて、計画・準備・実施・フォロー・改善のサイクルを回すことが大切です。

定期健康診断を始めることで、より安全で快適な職場環境を作りましょう。

最後に、健康診断を始める前の業務リストを作成しましたので、ご参照ください。

<健康診断を始める前の準備リスト>

項目詳細
1健康診断の種類、対象者事業場の業務内容の確認、健康診断の種類の確認、対象者数など
2健康診断の実施時期年度内に実施、事後措置対応等を終了する必要があるため、事業場の規模や対象者、健診の種類により実施時期を検討するのが望ましい。
3年間のスケジュール健康診断の準備、実施、事後措置対応、保健指導などの大まかな流れ、スケジュールを立てておくと従業員への理解が得られやすいので、おすすめする。
4健康診断委託先の決定健康診断を委託するには、契約や予算の確保など運用にあたって様々な調整をしなければならないので、早めに決定をしておく必要がある。
5健康診断の周知実施時期が決まったら、衛生委員会などで周知を行う。事後措置の対応など社内運用が決まっている場合は、同時に周知を図るとなおよい。

本記事監修:産業保健師 辻 梨恵子(ペンネーム)

<参考図書>職場の健康がみえる 産業保健の基礎と健康経営 

編集:医療情報科学研究所、発行所:株式会社 メディックメディア

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