静かな退職が企業にもたらす静かではないリスクとは一体?~若手社員の離職を防ぐためにできること~

「静かな退職」とは?
「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉は、近年、SNSやビジネス誌で大きく注目されています。
「静かな退職」とは、従業員が明確に退職を表明することなく、最低限の業務だけをこなし、徐々に職場から“心理的に”離れていく現象を指します。
特に最近よく耳にする原因として、TikTok等のSNSでZ世代を中心に日本にも認知が広まっていることで、メディアにも取り上げられているため、みなさんも目にする機会が増えたのではないでしょうか。
若手社員の46.7%が「静かな退職」状態にある現実
2025年4月に発表されたマイナビの調査(※詳細は参照からご確認ください。)によると、正社員のうち44.5%が「静かな退職」をしていると回答しています。
特に20代ではその割合が46.7%と最も高い割合を占めており、若手社員の約半数が「やりがいやキャリアアップを求めず、最低限の業務だけをこなす」状態にあることがこの調査で明らかになりました。
この傾向をそのままにしておくと、エンゲージメントの低下や生産性の停滞、そして突発的な離職リスクという形で、確実にダメージをもたらします。
「静かな退職」をする人が増加している理由
では、なぜ今「静かな退職」をする人が増えているのでしょうか?
大きく3つの理由が考えられます。
●環境変化によるストレス
リモートワークの普及や組織再編など、働く環境が急激に変化したことで、職場とのつながりが希薄化するため、孤独感や不安を抱える若手社員が増えています。
●メンタル不調のサインを見逃しやすい
働き方の多様化に関わらず、メンタル不調は外からだと見えにくいものです。
「元気そうに見えるけど、実は限界だった」というケースも少なくありません。
(一見元気に見えているが実は不調を抱えている状態は、パフォーマンスを100%発揮することができない、”プレゼンティーイズムが高い状態”ともいうことができます。)
●相談できる場の不足
「上司には言いづらい」「人事に話すと評価に響きそう」、そんな理由から本音を話せる場がないまま退職を選ぶ若手社員もいます。
このように静かな退職の背景には、メンタル不調の兆候が潜んでいるケースも少なくありません。
特に若手社員は、経験や人間関係の構築がまだ未熟な分、ストレスを抱えやすい傾向があり、「相談できない」「評価が怖い」などの理由で、あえて相談しない選択肢を選ぶ可能性も高くなります。
加えて、若手社員の多くは、働き始めた時期もしくは就職活動の時期がコロナ禍と被っていました。
既に多様化した働き方から社会人生活をスタートした方も多いので、中堅以上の方よりも職場や働き方などの環境変化に敏感であると考えられます。
人事担当者ができる「静かな退職」を防ぐ対策
「静かな退職」のサインを見逃してしまうと、突然の休職や退職につながるリスクが高まります。
早期に近くの人がサインに気付ける仕組みづくりが大事です。
●定期的な1on1面談の実施
1on1とは、上司と部下がマンツーマンで実施する面談のことです。
特徴としては、対話形式で定期的に実施するところが挙げられます。
部下の感情や価値観に寄り添うことができるため、部下の小さな変化に気付くことができ、また部下とのコミュニケーションの促進や信頼関係の構築に役立ちます。
●メンタルヘルスの早期発見ツールの導入
若手社員が自身で不調に気付くことも大切です。
適切な時期にストレスチェックを実施する、パルスサーベイで日々の状態を確認するなど、システムを有効活用することもできます。
また、外部カウンセリングを導入することで若手社員自身が認知していない不調に気付くきっかけをつくることができます。
●相談しやすい環境の整備
相談ができる環境であることが大切です。
それは「社内もしくは社外に相談窓口を設置する」だけが相談しやすい環境整備とは言いません。
企業と従業員の“双方”が「相談しやすい」「話しやすい」といった対話のきっかけを持てる仕組みであることが重視されます。
ウェルネスサポートで対策に活用できるサービス4選
ウェルネスサポートでは、静かな退職を防ぐためのサービスを幅広くご提供しています。
一部ですが、特に離職防止の対策として役立つサービスを4つご紹介します。
◇2面型相談窓口サービス「WellCheeer(ウェルチア―)」
企業様の声を基に、設置することに意味を持たせた相談窓口サービスを新しくご提供しています。
2面型相談窓口サービス「WellCheeer(ウェルチア―)」は、企業が「面談(フォロー)したい従業員」への面談機会と、従業員が「相談したいタイミングで相談できる」機会を、月額費用で利用できる相談窓口サービスです。
企業がフォローしたい従業員への面談は、定期的に実施することで継続してフォローすることが可能です。

◇ストレスチェック後「プレ面談サービス」
特定の集団に対してカウンセラーの面談を実施できるサービスです。
ストレスチェックの実施後以外でもご利用いただけます。
ひとりに対して面談の実施が難しい場合でも、ストレス傾向の高い集団全体に対して実施することができるため、個人だけでなく、チーム全体の職場環境改善対策として活用できます。

◇ストレスチェックサービス
厚労省マニュアルに則った運用で実施することができるストレスチェックサービスをご提供しています。
57項目・80項目に加えて、プレゼンティーイズムの測定ができるSPQ検査、無償提供のオリジナル140問検査等、自身のセルフケアチェックに役立てていただけるようなオプションも豊富にご用意しております。

◇メンタルヘルス研修
企業向け集合研修サービスとして、オーダーメイド研修ではセルフケア、ラインケアの研修をご提供しています。
企業様のご状況をヒアリングした上で、研修内容を組み立てていくオーダーメイド形式のサービスなので、内容が決まっていなくても担当者や講師と相談して実施することが可能です。

「静かな退職」を静かに防ぐために
静かな退職は、企業にとって「気づいたときには手遅れ」になりやすい課題です。
だからこそ、日常的な対話の仕組みと、相談しやすい環境づくりがカギになります。
若手社員の声に耳を傾け、離職を防ぐために、今こそ、静かな退職を未然に防ぐための一歩を踏み出しませんか?
参照:https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250422_95153/(正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)株式会社マイナビ)