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幹細胞治療の導入前に知っておきたい基礎知識
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当社は医療機関向けに再生医療の導入サポートサービスを提供しておりますが、最近では、PRPに加えて幹細胞培養治療の導入に関するご相談が増えております。

幹細胞培養治療について、ご自身の診療科目の中でどんな再生医療があるのかについてはある程度ご存知かと思いますが、具体的に幹細胞培養治療を導入するためにはどのような手続きが必要であり、費用はどの程度かについては把握されていない方も多いかもしれません。

そこで、今回はよくいただく質問に焦点を当て、幹細胞培養治療導入の手続き手順や費用、幹細胞培養施設(CPC)の選定ポイントなどについてご紹介いたします。

幹細胞治療の応用範囲について

まずは、幹細胞治療の応用範囲のお話から始めていきましょう。

幹細胞治療は、「抗炎症作用」「組織修復促進」「老化防止」「血管再生」など、様々な効果が期待されており、既に広範な領域で治療が行われています。

いくつかご紹介すると、幹細胞治療の応用例には以下のようなものがあります。

幹細胞治療の応用例

  • 変形性関節症治療
  • 糖尿病治療
  • 肌の再生
  • 腎臓病治療
  • 疼痛緩和
  • 脳卒中後遺症治療
  • 更年期障害
  • アトピー疾患治療
  • 組織再建(乳房など)
  • 認知症治療
  • 肝機能障害

など

これらは一部の例ですが、幹細胞治療は応用範囲が広く、実際に、弊社へも様々な診療科目の医療機関から導入支援に関するお問い合わせをいただいております。

なお、実際に各医療機関で行われている治療の詳細を知りたい場合は、厚生労働省のウェブサイト「e-再生医療」内の「第二種 再生医療等提供計画(治療)」で確認することができます。このウェブサイトでは、各医療機関で提供されている再生医療の名称や、患者への説明文書が記載されています。

詳細は以下のウェブサイトをご参照ください

e-再生医療|第二種 再生医療等提供計画(治療)

幹細胞治療の安全性について

幹細胞治療の導入を検討するにあたり、エビデンスや臨床実績がまだ少ないこともあり、幹細胞治療の安全性を懸念されている医療機関は少なくありません。

幹細胞を用いた治療は、患者自身の細胞を利用するため、免疫拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いとされています。しかし、適切な手順の導入や法令遵守、患者への適切な説明と同意プロセスが重要です。

幹細胞治療を提供するにあたり、2014年に制定された「再生医療等安全性確保法」には、特定認定再生医療等委員会による提供計画の承認や厚生労働省への再生医療等提供計画の提出が受理のルールとして定められています。

さらに、厚生労働省のウェブサイトに「再生医療等を受ける者に対する説明文書及び同意文書」を掲示することが義務づけられています。

このようなルール作りが推進された背景には、2010年9月30日に京都のクリニックで発生した事件があります。当時、73歳の男性が自身の脂肪由来間葉系幹細胞を点滴によって投与された後、肺動脈塞栓症を発症し、死亡しました。この事件を契機に、再生医療の安全性確保と適切な規制が求められるようになったのです。

残念なことに、「再生医療等安全性確保法」の制定後も、再生医療の一時停止命令や再生医療等安全性確保法違反容疑での逮捕者が出るなど、法律違反や安全性の問題が発覚しています。

再生医療等安全性確保法違反事案について

患者の安全性を確保するためにも、幹細胞治療の導入を検討する際には、法令やガイドラインの遵守、臨床試験や研究成果に基づいた治療の提供、患者への適切な説明と同意プロセスなどを確認することが必要とされています。

幹細胞培養施設と特定認定再生医療等委員会の選定ポイント

幹細胞治療導入のステップは、大きく以下のようになります。

再生医療提供計画の申請方法については別記事で解説していますので、ここでは細胞培養施設(CPC)と特定認定再生医療等委員会を選ぶ際のポイントについてご紹介します。

幹細胞培養施設(CPC)の選定のポイント

幹細胞治療においては、自院に細胞培養加工施設を設置せず、幹細胞培養施設(CPC)へ培養を依頼することが一般的です。

弊社に寄せられるお問い合わせでも、「幹細胞の培養を受けてくれる細胞培養施設(CPC)の業者を教えてほしい」という内容が多いのですが、幹細胞培養施設(CPC)の選定には注意点があります。

それは、細胞培養施設(CPC)ごとに対応できる疾患が異なるということです。具体的には、細胞培養施設ごとに、自施設での臨床やエビデンス等の関係でまだ推奨していない疾患がある場合があります。

もし、治療したい疾患などがありましたら、弊社にお問い合わせいただければ、相談可能な細胞培養施設(CPC)をご案内させていただきます。

特定認定再生医療等委員会の選定ポイント

幹細胞培養施設(CPC)と同様に、特定認定再生医療等委員会も幹細胞治療に対応できる委員会が限られています

特定認定再生医療等委員会

特定認定再生医療等委員会には、幹細胞治療の審査実績がまだなかったり、対象疾患によっては審査できない場合があります。そのため、皆さんも特定認定再生医療等委員会の選定に苦労されているようです。

幹細胞治療の審査に対応可能な特定認定再生医療等委員会は、先ほどご紹介した「e-再生医療」内の「第二種 再生医療等提供計画(治療)」で確認することができます。

委員会の選定は重要な要素でもありますので、ご検討の際には弊社にお気軽にご相談ください。疾患ごとに申請に最適な委員会をご紹介することも可能です。

再生医療等安全性確保法違反事案について(日本免疫治療学会)

また、別の記事では再生医療等の審査委員会の選び方や審査料についても解説しています。ぜひそちらもご確認ください

幹細胞治療の導入コストは細胞培養加工施設を設置するか否か次第で大きく異なる

幹細胞治療の導入コストは、細胞培養加工施設を設置するかどうかによって大きく異なります。

自院に細胞培養加工施設を設置する場合、工事費や医療機器の導入費用だけでなく、細胞培養士の人件費も必要となります。これにより、数千万円以上の費用がかかる場合があります。そのため、幹細胞治療では自院に細胞培養加工施設を設置せず、幹細胞培養施設(CPC)に培養を依頼することが一般的です。

では、幹細胞培養施設(CPC)に培養を依頼するとどのような費用が発生するのかについてもご紹介しておきましょう。

幹細胞培養施設(CPC)への培養依頼にかかる費用は、培養個数(1000万~2億個など)次第で変わりますが、1回当たり30万~50万(税別)かかります。

また、細胞をCPC施設で保管する場合は、別途保管料が毎月1万~2万円ほど発生します。さらに、医療機関からCPC施設までの輸送料(費用はエリアにより異なる)が発生します。

また、CPCへの依頼に際しては、以下のような機器の準備が必要です。

  • ボルテックスミキサー(細胞製剤の攪拌用):2〜3万円程度
  • ブロックバス(細胞製剤の解凍用):30万円程度
  • 低温フリーザー(細胞の保管用):50万円程度

幹細胞治療は患者への提供価格も高めに

先にご紹介しました通り、幹細胞治療は導入時も治療時も高額なコストがかかります。

そのため、数万円で提供されることの多いPRPと比較して、幹細胞治療は患者にとって必然的に高額な治療となります。

ご参考までに、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている実際の治療費をいくつかご紹介します。なお、以下はいずれも1回投与の費用です。

実際の治療費(※第二種 再生医療等提供計画(治療)治療同意書より)

  • 自家脂肪組織由来幹細胞(ASC)の投与による関節治療:120〜350万円(120〜180万円前後が多い)
  • ⾃⼰脂肪由来間葉系幹細胞を⽤いた糖尿病治療:150〜350万円(200万円前後が多い)
  • 自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた慢性疼痛の治療:150〜350万円(250万円前後が多い)

幹細胞治療費用の例(慢性疼痛の治療)

培養面積 (cm2)細胞数(目安)投与回数治療費(培養費および投与
回数分の投与基本料)
10003,000 万個相当1 回投与2,200,000 円
25009,000 万個相当3 回投与4,400,000 円
25001 億個相当1 回投与4,400,000 円
50002 億個相当2 回投与5,500,000 円

申請サポート業者も幹細胞治療の対象疾患により対応できないケースもあり

再生医療等提供計画書の作成には相当な手間と時間がかかるため、再生医療の導入支援サービスを利用する医療機関は多くあります。しかし、再生医療の導入支援サービスを選ぶ際にも注意が必要です。

幹細胞治療の導入手順をご紹介した際に、幹細胞培養施設(CPC)や特定認定再生医療等委員会が特定の疾患に対応できないことがあることをお伝えしました。

同様に、申請サポート業者も全ての疾患の導入支援を行えるわけではありません。特に幹細胞治療の疾患に対応できない場合もあります

ですので、幹細胞治療の導入支援サービスを探される際には、業者が対象となる疾患に対応できるかを事前に確認することをおすすめします。

まとめ

以上、幹細胞治療導入を検討する際に知っておきたい基礎知識のご紹介でした。

ご紹介した通り、幹細胞治療には幹細胞培養施設や特定認定再生医療等委員会、再生医療導入サポートサービス提供企業が対応できない疾患が存在し、先生方もPRP治療の導入に比べて苦労されることが多いようです。

実際に、弊社の再生医療導入サポートサービスでも一部対応できない疾患がありますが、その場合は協力企業に依頼することで対応していますので、何らかのサポートは可能です。

幹細胞治療導入をご検討の際にはお気軽にご相談ください。

\お気軽にご相談ください/

電話:03‐6712‐8465

再生医療導入支援サービスについては、下記ページで詳しくご紹介しております。

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