PRP/幹細胞/免疫治療の再生医療提供計画の申請方法
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近年、PRP(Platelet-Rich Plasma)療法、幹細胞治療の他、がん免疫療法などの再生医療の導入を検討している医療機関が増えています。
しかし、再生医療の導入には多くの申請手続きや事前準備が必要となり、負担の大きさから申請を途中で諦めてしまう医療機関も少なくありません。
そこで、本記事では、PRP療法、幹細胞治療、がん免疫療法などの再生医療を導入する際の申請手順や注意点について解説すると共に、再生医療導入時の負担軽減を目的とした「再生医療の導入支援サービス」をご紹介します。
PRP/幹細胞/免疫治療の分類について
再生医療の安全性確保や適切な運用を目的として制定された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」では、再生医療をリスクに応じて第一種から第三種の3つに分類しています。
再生医療の分類は以下の通りです。
- 第一種再生医療等:ヒトに未実施など高リスクな再生医療(例 ES細胞、iPS細胞等)
- 第二種再生医療等:現在実施中など中リスクな再生医療(例 体性幹細胞等)
【第二種の具体的な疾患例】
整形外科:PRP・脂肪幹細胞(ASC)を用いた変形性関節炎(膝・肘・股関節等)
内科:脂肪幹細胞(ASC)を用いた糖尿病・肝臓病・慢性疼痛等
美容・皮膚科:脂肪幹細胞を用いたしわ・たるみ等加齢性変化への治療・アトピー性皮膚炎、
自己線維芽細胞を用いた皮膚再生・頭髪改善(AGA)治療等
婦人科:PRPを用いた子宮内膜改善、卵巣機能改善等
- 第三種再生医療等:リスクの低い再生医療(例 体細胞を加工等)
【第三種の具体的な疾患例】
整形外科:PRPを用いたスポーツ外傷を含む筋、腱、靱帯損傷治療
美容・皮膚科:PRPを用いた皮膚の再生および創傷治癒を目的とした再生医療、AGA治療等
がん・神経科:NK細胞、T細胞、NKT細胞等の免疫細胞を用いたがん免疫細胞治療
歯科:PRP・自家血小板含有フィブリンゲル(CGF)を用いた口腔内組織の再生医療
第一種には主に研究分野が含まれ、クリニックで導入される可能性のある再生療法の多くは第二種または第三種に分類されます。
例えば、PRP療法に関しては、産婦人科の不妊治療や整形外科における関節内投与による関節治療などが第二種に該当し、美容医療や歯科における骨再生治癒、整形外科における関節外治療などが第三種に該当します。また、幹細胞治療については、基本的に第二種に該当します。
分類により申請内容は異なりますが、第二種と第三種は同時に申請することも可能です。
弊社の提供する「再生医療導入支援サービス」でも、整形外科においては第二種(変形性膝関節症におけるPRP)と第三種(筋腱におけるPRP)をセットでご依頼いただくケースが多くあります。
PRP治療や幹細胞治療の導入に向けた再生医療等の申請手順
PRP治療や幹細胞治療の導入に向けた再生医療等の申請手続きの大まかな流れは以下のようになります。
- 特定細胞加工物製造届書の提出と施設番号の付与(幹細胞培養治療は不要な場合あり)
- (特定)認定再生医療等委員会による再生医療等提供計画の審査
- 厚生局への再生医療等提供計画の提出と受理
今回は、自クリニック内でのPRP製造(第三種)を例に、申請手順をより詳しくご紹介します。また、幹細胞治療についても補足で解説いたします。
なお、申請に必要な各書類の作成やデータのアップロードは、厚生労働省の「再生医療等の各種申請等のオンライン手続サイト」を利用します。
1. 情報の収集や資料の準備
まず、再生医療等提供計画書作成のための情報を収集します。
- 法人情報(登記事項証明書、開設・変更届)
- PRPの製造方法
- 医師の履歴書
- 院内・加工室・処置室等の平面図
- 加入保険の確認(医師賠償責任保険等加入状況の確認)
等
2. 認定再生医療等委員会の決定
審査を依頼する認定再生医療等委員会を決定します。
提出先の認定再生医療等委員会によって、審査手数料や審査にかかる時間が異なります。また、認定再生医療等委員会の審査日もそれぞれ異なります。
そのため、事前に審査を依頼する認定再生医療等委員会の審査日を確認し、スケジュールに余裕を持って進めることをおすすめします。
※第二種の場合、特定認定再生医療等委員会への提出となります。
3. 特定細胞加工物製造届書の提出(幹細胞培養治療は不要な場合あり)
加工室、遠心機、クリーンベンチなどの設備を準備した上で、特定細胞加工物製造届書(様式第27)を地方厚生局長に提出し、認可を受けます。
必要書類
・細胞培養加工施設の構造設備に関する書類(建物の配置図、施設の平面図など)
・登記事項証明書(法人の場合のみ)
・特定細胞加工物の一覧表
・構造設備チェックリスト
等
書類は「再生医療等の各種申請等のオンライン手続サイト」上で提出することが可能です。
手続きが終了すると、「細胞培養加工施設の施設番号」が付与されます。
4. 再生医療等提供計画書の作成
認定再生医療等委員会による提供計画の審査を受けるため、再生医療等提供計画書(様式第1の2)をデータ入力(ここでは委員会からの意見書は入力不要)し、必要資料を作成します。
資料に不足や誤りがあると再審査となってしまいますので、正確かつ漏れなく作成することが重要です。
なお、必要な資料については書式が用意されていないため、自身で用意する必要があります。
5. 認定再生医療等委員会による審査
再生医療等提供計画書(様式第1の2)と必要書類を、認定再生医療等委員会に提出します(提出方法は認定再生医療等委員会によって異なります)。
承認を得ると、「意見書」「議事録」「再生医療等提供基準チェックリスト」が送られてきます。
6. 厚生局への再生医療等提供計画の提出
申請書作成サイトで再生医療等提供計画書(様式第1の2)に「委員会からの意見書」を追加し登録を完成させます。
完成したら、「再生医療等の各種申請等のオンライン手続サイト」上で提出します。
7. PRP療法の提供開始
厚生局の確認後、数週間で受理されます。
申請書作成サイトで受理番号が発行された後、PRP療法の提供開始となります。
再生医療等の申請や審査にかかる期間
- 「特定細胞加工物製造届書」の提出から「細胞培養加工施設の施設番号」付与までにかかる期間
「細胞培養加工施設の施設番号」は、特定細胞加工物製造届書が厚生局に届いてから3日から1週間程度(関東厚生局の場合)で付与されます。
ただし、要する期間は申請する厚生局のエリアにより異なります。また、年末年始や年度末年度初め、法改正などがある場合には、約2~3週間程度かかることがあります。
- 再生医療等提供計画書の作成にかかる時間
再生医療等提供計画書の作成にかかる時間は、医療機関の状況によって異なります。
しかしながら、再生医療等提供計画書の作成は、どの場合でも相当な時間を要する作業です。また、作成過程で資料に不足や誤りがあると再審査が必要となり、その結果としてさらに1か月間待たなければならない場合もあります。
そのため、多くの医療機関が再生医療等提供計画書の作成において、業者の支援サービスを利用しています。
- 認定再生医療等委員会による審査にかかる期間
審査自体は通常委員会当日の1回で終了します。そして、厚生局への申請に必要な意見書・審査受理番号は3日から1週間程度で委員会から提出されます。
ただし、委員会は1ヶ月に1回しか開催されない場合も多くあります。もし申請書類に不備があり、委員会の審査を通過できない場合、修正が簡単な場合は再審査を待たずに修正後に受理されることもありますが、それ以外の場合は、再審査は1ヶ月後次回委員会で行われます。
- 厚生局の受理から受理番号が発行されるまでにかかる期間
受理番号は、通常、厚生局に再生医療等提供計画書が届いてから1~2週間程度で発行されます。ただし、厚生局のエリアや時期により若干遅くなることがあります。
再生医療導入支援サービスのご紹介
ご紹介してきましたように、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療の導入にはかなりの時間を要します。
特に、再生医療等提供計画の書類一式は200-300ページ以上に及び、手間と時間を要する大変な作業です。これらの準備を医師が診察を行いながら並行して進めることは現実的ではありません。
そこで、弊社は医療機関がスムーズに再生医療を導入頂くために、再生医療の導入支援サービスを提供しております。
再生医療導入支援サービスでは、特定細胞加工物製造届出や再生医療等提供計画書の作成や申請のサポートに加え、認可後に必要な定期報告や変更手続きについてもお手伝い可能です。
再生医療導入をご検討の際は、まずはお気軽にご相談下さい。
\電話:03‐6712‐8465/
再生医療導入支援サービスについては、下記ページで詳しくご紹介しております。