【50名未満事業場】ストレスチェック義務化の現状と方針
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2025年3月14日、政府はストレスチェックを50名未満の事業場でも義務化する改正案を閣議決定しました。
(労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案)
今回は、今まで50名未満の事業所では努力義務だったものが、どのような経緯で義務対象になり、今後どのような方針で進んでいくのかを解説していきます。
ストレスチェック制度見直しの背景
今回の閣議決定の前段として、2024年3月より厚生労働省労働基準局が開催していた、ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会があります。
ストレスチェック制度は、メンタルヘルス対策の一次予防の一環として、2015年12月から50名以上の事業場で実施されています。
50名未満については当分の間、努力義務とされていました。
ストレスチェック制度の効果については、学術論文や研究報告書等で検証を行い、ストレスチェックの受検や、集団分析・職場環境改善の取組により、労働者の心理的ストレス反応の改善等が見られています。
一方、精神障害の労災支給件数は2023年には過去最多883件、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者がいる事業所は、近年上昇傾向にあります。
また、厚労省の令和5年労働安全衛生調査によると、メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合は、労働者数50人以上の事業場で91.3%となっているものの、50人未満の事業場では、30~49人の事業場で 71.8%、10人~29 人の事業場で56.6%と低い水準です。

このような現状を見直すべく、計7回の検討会で様々な議論を重ねた結果、50名未満の事業場でもストレスチェック実施をする方針となり、2024年11月に検討会中間とりまとめ発表、2025年1月17日に労働政策審議会が「今後の労働安全衛生対策について」を公表、同月27日に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申が行われ、今回の閣議決定で正式に義務化が決定した形です。
年月日 | 経緯 |
2024年3月29日~ 2024年10月10日 |
ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会(計7回) |
2024年11月1日 | ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 中間とりまとめ |
2025年1月17日 | 今後の労働安全衛生対策について |
2025年1月27日 | 「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申 |
2025年3月14日 | 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案 閣議決定 |
50名未満のストレスチェックはいつから開始?
答申の中では具体的な日付の記載はなく、「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」と定められています。
制度改正に当たっては、50名未満の事業場の負担等に配慮し、十分な準備期間を確保することとされており、50名未満の事業場で現行のストレスチェック制度を実施するには課題も多くあるため、今すぐに施行というのは考えにくいでしょう。
50名未満の事業場で配慮すべきこと
労働政策審議会の報告書では、事業者側の対応として、以下5点が挙げられています。
- 労働者のプライバシー保護の観点から、原則として、外部委託を推奨する
- 労働基準監督署への実施結果の報告義務は、負担軽減の観点から課さない
- 負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する
- ストレスチェック実施後の集団分析・職場環境改善の義務化については、引き続きの検討課題とする
- 集団分析の実施方法については、個人を特定できない方法で実施する努力義務規定とする
また、国の対応としては、2点が挙げられています。
- プライバシーが保護され、現実的で実効性のある実施体制・方法についてのマニュアル整備
- 高ストレス者の面接指導を無料対応している地産保センターの体制整備
まとめ
現在の日本では、50名未満の従業員規模の会社法人が90%以上を占めているため、今回の法改正は大きく注目されるでしょう。
今回の決定で「ストレスチェックは意味がない」といった労働者の声も見られましたが、メンタルヘルス対策として一定の成果が出ていると検証されている以上、労働者や企業がどれだけ目的を理解して取り組むことができるかが大切です。
自社で全てを推進していくことが難しければ、推奨されているように外部委託業者を利用することで、サポートを受けながら効果的に実施をすることにもつながるでしょう。
弊社も、今後の動向をチェックしていきたいと思います。
参照
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